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目標設定のための現状分析の手法

【中小企業マネジメント解説シリーズ】第5回

 前回は「経営理念の策定」についてお話ししました。熱い思いや事業の目的は、うまく言語化できたでしょうか。経営理念が決まったら、次に行うのは現在の置かれた状況の確認です。今回は、目標を「単なる願望」で終わらせないための、科学的な現状分析手法を解説します。

[NotebookLMを使用した音声解説]

目標方程式で考える現状分析

目標方程式
〔目標〕 = 〔現状〕 + 〔課題〕

 私が提唱している考え方に、「目標方程式」があります。目標とは、今の立ち位置(現状)を正確に把握したものに、理想とのギャップを埋めるためのハードル(課題)を足し合わせたものです。第2回で解説したR-PDCAサイクルの「R(Research)」にあたるこの工程こそが経営の成否を分けます。高い目標を掲げたとしても、現状とのギャップが大き過ぎると達成するのは困難です。現状を無視していては問題を洗い出すことができません。現状分析を徹底し課題を見出すことで正しい目標設定ができるのです。

利害関係者のニーズと期待

 中小企業は、顧客、従業員、取引先、金融機関、そして地域社会といった多くの存在に支えられています。自社の都合だけで「現状」を定義するのではなく、「市場(顧客)から何が求められているのか?」「社会はどう変化しているのか?」という外からの視点を取り入れることが、精度の高い分析の第一歩です。
 現状分析を行う際、絶対に忘れてはならないのが「利害関係者(ステークホルダー)のニーズと期待」です。特に顧客満足度を向上するためのニーズ調査は欠かせません。

現状分析の王道:SWOT分析

 現状を整理する際、最も汎用性が高いのがSWOT(スウォット)分析です。日本では一般的に、以下の例のようなマトリックスで整理されます。上段に内部要因を Strength(強み)とWeakness(弱み)に分けて書き出します。そして、下段に外部要因を Opportunity(機会)とThreat(脅威)に分けて書き出します。そうすることで、自社の立場が明るみになるのです。
 この「上段に内部要因、下段に外部要因」を並べる形式は、自社の実力と外の世界を分けて考えるのに適しています。


プラス要因


マイナス要因

内部要因 Strength(強み) Weakness(弱み)
・自社の独自の技術 ・人手不足
・顧客との信頼関係 ・IT化の遅れ
    :      : 
外部要因 Opportunity(機会) Threat(脅威)
・市場トレンド ・原材料高騰
・法改正、補助金 ・競合の参入
    :      : 
(SWOT分析の例)

マクロ環境を読み解く「PESTLE分析」

 SWOTの「機会」や「脅威」をより具体的に出すには、PESTLE分析が有効です。PESTLE(ペステル)分析は、企業を取り巻く6つの外部マクロ環境(政治、経済、社会、技術、法律、環境)を分析し、事業の機会やリスクを特定するフレームワークです。PEST分析に法的・環境要因を加えたもので、新市場参入や中長期戦略の策定において、外部環境の大きな変化を早期に予測し、効果的な意思決定を行うために活用されます。

項目内容例
P(政治)働き方改革、補助金、規制緩和
E(経済)円安、原材料費、消費動向
S(社会)少子高齢化、ライフスタイルの変化
T(技術)生成AI、DX推進、新素材
L(法律)改正電子帳簿保存法、インボイス制度
E(環境)脱炭素(GX)、SDGs
(PESTLE分析の例)

思考を可視化するツール:マンダラチャート・マインドマップ

 分析した内容を整理し、具体的な行動に落とし込むには、図解ツールの活用がおすすめです。

  • マンダラチャート
     大リーガーの大谷翔平選手が使ったことでも知られている目標設定シートです。3×3の9つのマス目に目標を書き込みます。中心の課題から8方向へ思考を広げ、漏れを防ぐことで、目標設定を確かなものにする方法です。
  • マインドマップ
     人間の心は理路整然とした直線的なものではなく複雑に入り込んだものです。マインドマップは、思考の連鎖を枝分かれさせ、複雑な因果関係を紐解きます。

👉 夢を叶えるマンダラチャート
米メジャーリーガー・大谷翔平選手が花巻東高校時代に作成したことで有名になった「目標達成シート」。本書はその元となった、夢を具体的に考えることで実現させるツール「マンダラチャート」の入門書です。

👉 マインドマップ超入門
『トニー・ブザン教育協会公認』のマインドマップ入門書。目標設定や問題解決、意思決定、スケジュール管理など、ビジネスの様々な場面で活用される定番のスキルが身に付きます。

結び:分析から「リスクマネジメント」へ

 現状を分析すると、自社の「弱み」や、外からの「脅威」がはっきりと見えてくるはずです。これらを「見なかったこと」にするのではなく、どう備えるかが健全経営の鍵となります。
 次回、第6回では、リスクマネジメントについて詳しく解説します。ISO 9001:2015の「リスクに基づく考え方」を取り入れ、中小企業がいかにしてピンチをチャンスに変えるかをお伝えします。

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