【建設業マネジメント解説シリーズ】第1回
沖縄の中小企業経営者が新たに建設業を始めるにあたり、最初の大きな関門となるのが「建設業許可」です。許可を取らずにできる工事には限りがあり、受注の幅を広げるためにも早期に建設業許可の取得を検討することが欠かせません。
本シリーズの第1回では、建設業許可の基本的な考え方と、建設業許可を取得するための主な要件を行政書士の視点から解説します。

建設業許可が必要となるケース
建設業法では、「『建設業』とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう」と定められています。この建設工事には土木一式工事、建築一式工事の一式工事業2業種のほか、大工工事、左官工事などの27業種の専門工事業、合計29業種があります。
これらの1件の工事代金が500万円(建築一式工事では1,500万円)以上の場合に建設業許可が必要となります。この請負金額の基準を超える工事を無許可で請け負うと罰則の対象(3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金)になるため注意が必要です。なお、建設業許可は29業種ごとに分けて取得する必要があり、建設業許可の有効期限は5年と定められています。
最近では沖縄県内でも公共工事や元請業者との取引において、許可を持っていないと入札や下請契約ができないケースが増えています。つまり、「許可を持っていない = ビジネスチャンスを逃す」ことにつながるのです。
建設業許可取得のための主な要件
建設業許可を取得するには、次の4つの基本要件を満たすこと及び欠格要件に該当しないことが必要です。
- 経営業務の管理責任者がいること
過去に建設業の経営経験がある人物が必要です。 - 専任技術者がいること
資格または実務経験によって証明します。 - 誠実性があること
不正行為や法令違反がないことが条件です。 - 財産的基礎または金銭的信用があること
自己資本500万円以上など、経営の安定性が求められます。
※ 欠格要件に該当しないこと
暴力団関係や刑事罰の履歴などがないこと。
これらの要件を満たしていても、証明書類の不備や経歴の整理不足で申請が却下されるケースも少なくありません。ポイントは、検証可能性(基本要件の裏付け)を満たしているかどうかということにあります。
一般建設業の許可と特定建設業の許可
建設業の許可は、元請として下請に発注する額によって、一般建設業許可と特定建設業許可に分かれます。発注者から直接工事を請け負い、かつ5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上を下請契約して工事を施工する者は、特定建設業の許可を受けなければなりません。それ以外は、一般建設業許可でよいことになります。
一般建設業か特定建設業かの判断は、元請が発注者から請け負う額に制限はなく、元請として下請に発注する額によって行います。
まとめ
建設業法の目的は、建設業法第1条において定められており、「建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与すること」にあります。
建設業許可を取得するということは、品質及び顧客満足度の向上、中小企業の健全経営、そして、公共の福祉の増進に役立つことですから、単なる手続きではなく、崇高な目的を達成するための手段ということを意識することが大切です。そのことが、沖縄県全体の発展につながります。「信頼を得るための第一歩」となる建設業許可の取得。建設業における品質・コスト・工程・安全・環境の5大管理による顧客満足度の向上のためにも、建設業許可取得の早めの準備と専門家の支援が欠かせません。
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※ NotebookLMは不正確な場合があります。


