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「君子は豹変す」 ― 気まぐれではなく、計画的な改善を

[NotebookLMを使用した音声解説]

 「君子(くんし)は豹変(ひょうへん)す」ということわざ。多くの人は「態度が急に変わる」「考えがコロコロ変わる」といった意味で使っているかもしれません。たとえば、昨日は「攻めの経営だ!」と言っていた社長が、今日は「やっぱり守りだ!」と言い出すような場面です。社員からすれば、「どっちなんですか?」と戸惑ってしまいますね。
 でも、実はこのことわざ、本来はまったく逆の意味なんです。本当の意味は「自分の間違いに気づいたら、すぐに正しい道に改めること」。つまり、“気まぐれに変わる”のではなく、“勇気をもって正す”ことなのです。

 企業経営でも、この違いはとても影響が大きいといえます。中小企業の経営者の中には、直感で判断し、勢いで方針を変えるタイプの方もいます。創業期ならそのスピードが強みになりますが、社員や取引先が増えてくると、経営者の「豹変」が混乱を生みやすくなります。
 「昨日と言ってることが違う」「急に方向転換した」――。そんな声が増えると、社員の信頼も失われてしまいます。

 では、どうすれば「悪い豹変」を避け、「良い豹変」ができるのでしょうか。答えのヒントは、経営の基本とも言える「PDCAサイクル」にあります。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Act(改善)という流れですね。
 このサイクルの中で大切なのは「改善(Act)」の部分。計画を立てて実行し、結果を数字や事実でチェックしたうえで良くなかった点を冷静に改める。まさにこれが「君子の豹変」なのです。感情や思いつきではなく、客観的事実に基づいて素早く修正する。これが信頼される経営者の変わり方です。
 たとえば、新しい商品を出したけれど売れ行きが思わしくない。そんなとき、すぐに「もうやめよう!」と判断するのではなく、「なぜ売れないのか」「ターゲットは間違っていないか」とデータを見直し、必要な部分だけを変えていく。この冷静さとスピードこそが、経営者に求められる「豹変の力」です。

 もうひとつ大切なのは、「変える理由を伝える」ことです。社員にとって方針転換は不安のもと。でも、社長が「こういう数字が出たから、こう変える」と説明すれば、理解と納得が生まれます。つまり、経営者の“豹変”が「気まぐれ」ではなく「成長」に変わるのです。
 結局のところ、経営における「豹変」とは、失敗を恐れず、事実を見つめ、正しく修正していく姿勢のこと。変わることをためらわず、しかし筋を通して進む――。それが真の「君子の豹変」なのです。
 経営とは、速く変わることではなく、正しく変わること。迷いながらも前へ進むすべての中小企業経営者にこそ、この言葉を贈りたいと思います。

 君子は豹変す。気まぐれではなく、誠実に正す人であれ。

[NotebookLMを使用した音声解説]

※ NotebookLMは不正確な場合があります。

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