建設業、特に中小企業の建設業において、事務を担当する部門はオールマイティでなければ難しいといえるでしょう。元請であれ、下請であれ、発注者と請負契約を交わすところから事務処理がスタートするわけですが、気が付くと机の上は書類の山になっていることが多いと思います。
個人事業の建設業となると、建設現場での書類のやり取りの後、その書類をそのままポケットに突っ込んでしまい、知らない間に洗濯物に紛れ込んでしまうこともあるのではないでしょうか。安全第一の建設現場では、書類のことなど構っていられないというのが本音だと思います。暑い夏場は熱中症に気を付け、寒い冬場は冷たい北風と闘い、体力勝負の建設現場では工事を完成させるため、実行予算の策定から工事の段取り、品質の向上や工期内完成を求められ、事務作業がおろそかになりがちなのはやむを得ないことなのでしょう。

規模の大きい企業であれば、豊富な人材を適材適所で配置し専業化できるのですが、そうはいかない建設業者も多いのです。請書を発行するのに収入印紙の貼付漏れや、電話での受発注ミス、多忙を極める工事の傍ら正確に事務手続きを行うのは困難です。
だからといって事務を全く行わないでいると、工事代金の受け払いだけではなく、税金の支払いを始め、資金繰りが回らないことで最悪の状況に陥ることを心配しないといけません。そこで、建設業の営業活動をサポートする事務職が必要になるのです。
事務職は経理事務や給与計算等の定型業務だけではなく、突飛な仕事が舞い込むことも少なくありません。事務所への電話は、お客様からの問合せだけでなく、建設工事に対するクレームや官公庁からの照会などがありますし、来客へのお茶出し、コピーや消耗品等の補充、パソコンを始め設備機器の不具合対応、税理士や金融機関との調整など、実に多くの業務があります。
さらに、消費税インボイスや電子帳簿保存法等、近年の法改正により新たな経理業務が増えてきました。このような事務処理を正確かつ迅速に行うには優秀な事務員が欠かせません。その力量の目安としては、建設業経理士検定、簿記検定、PC検定等があります。業務を円滑に行い、健全に経営を行うためにも事務職の確保は大切です。


